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油井 三和; 笹本 広; Randolph C Arthu*
JNC TN8400 99-030, 201 Pages, 1999/07
原子力委員会が策定した我が国における地層処分計画によれば、核燃料サイクル開発機構は、高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価に関する第2次取りまとめを西暦2,000年前までに公表し、国へ提出することになっている(原子力委員会、1997)。本報告書では、高レベル放射性廃棄物地層処分システムの性能評価上重要となる地質環境条件の一つである地下水の地球化学的特性に関して、第1次取りまとめの考察に加え、実測値を基にした統計学的解析(2変量散布図)をもとに、幅広い地質環境を想定し、かつ性能評価上の重要性を考慮して、以下の仮想的な5種類のモデル地下水を設定した。・降水系高pH型地下水・降水系低pH型地下水・海水系高pH型地下水・海水系低pH型地下水・混合系中性型地下水 また、多変量に基づく実測地下水データの統計学的解析による地下水分類の妥当性の検討結果、実測値の信頼性、地下水水質形成に関する地球化学的根拠および資源のある地域を選定しないという我が国の処分コンセプトを踏まえ、上記5種類のモデル地下水に対して、地層処分システムの安全評価上設定する地下水水質としての優先順位を検討した。その結果、第2次取りまとめにおける以下の各性能評価解析ケースに対して、各々、以下のモデル地下水を選定した。・レファレンスケース地下水:降水系高pH型地下水・地質環境変更ケース地下水:海水系高pH型地下水 さらに、核燃料サイクル開発機構が開発した地下水水質形成モデルの概念について、海外の専門家と議論した。このモデルは、地下水の起源と地下水-岩石反応の進展を考慮した地球化学平衡モデルにより、深部の地下水水質を推測するものである。海外の専門家との間では、より現実的な地下水水質形成モデルを構築する上で重要な点について主に議論し、貴重な知見を得ることができた。